双子ベビーカーを畳んで乗車する
はじめに
私は、双子ベビーカーユーザーとして、新幹線の定刻通りの運行を妨げず、なるべく周りの乗客の物理的な邪魔にならない、双子ベビーカーと東北新幹線に乗れる方法を模索しています。この記事は、筆者個人調べによる「現状一番良いと思われる方法」をまとめたものです。また、この記事は東北新幹線に特化しています。事情は路線ごとに異なりますのでご注意ください。
ここでの双子ベビーカーは、「エアバギー ココダブルEX フロムバース(以下ココダブル)」を指します。ココダブルは多胎家庭でのシェアが高く、双子ベビーカー問題になると大抵このココダブルのサイズが基準になる印象です。拙宅もココダブルユーザーです。
エアバギー ココダブルEX フロムバースの大きさは以下の通りです。
起立時:幅71.5cm 全長90cm 高さ95cm
折畳時:幅71.5cm 奥行45cm 高さ82cm
重量:13kg
(エアバギー公式サイトより)
ココダブルは、横型の双子ベビーカーとしてはスリムです。一般的な車椅子より幅広ですが、一応車椅子のISO基準の最大幅くらいなので、車椅子対応の場所であれば通過可能です。記事中では、他の双子ベビーカーをお使いの方も参考にしていただけるよう、要所要所のサイズを実測値を掲載しました。ただ、計測誤差もありますし、新幹線側も同じ系でも車両によってサイズが異なる可能性もあります。ご了承ください。
あと、鉄道に全く詳しくないので用語等が間違っていたらごめんなさい!!
目次
双子ベビーカーを畳んで乗車する
双子ベビーカーを新幹線に乗せるには、大きく分けて、「双子ベビーカーを畳んで乗車する場合」と「双子ベビーカーを畳まず乗車する場合」があります。この記事では、「双子ベビーカーを畳んで乗車する場合」をご紹介しています。
こんなご家庭におすすめ
- 以下2つのどちらかを満たしている(おすすめというか必要条件)
- 大人の数 ≧子どもの数(車内での子どもの抱っこ人員が足りている)
- 子どもが自分で座席に座っていられる
- 乗車距離が長い
【Point】子どもが自分で座席に座っていられる月齢であれば、大人1人でも実行可能です(乗降はJR東日本にお手伝いをお願いします)。ただまあ、実現不可能ではないだけでかなり大変です。
概要
- E5系の車両の最後列の席を予約する
- ホームで子どもたちを抱っこして、双子ベビーカーを畳む
- 子どもたち、荷物、双子ベビーカーと共に乗車する
- 双子ベビーカーは、予約した座席の後ろに置く
- 子どもたちと席に座る
- 降りる駅が近づいたら降車準備をする
- 子どもたち、荷物、双子ベビーカーと共に降車する
- ホームで双子ベビーカーを広げ、子どもたちを乗せる
全体像のイメージは湧きましたか?では、詳細を、事前準備と当日に分けてご説明します。
事前準備
チケットを予約する→当日のシミュレーションをする→JRに介助依頼をする
の順で書いています。
チケットを予約する
席を取る時に注意したいポイントは以下の4つです。
- 予約する席の数
- 乗車する新幹線
- 席の位置
- 号車
1.予約する席の数
列車では本来、大人1人の運賃につき未就学児2人まで無料で同伴できます。しかし、指定席を使うとなると別です。使いたい席数が大人の数より多い場合は、その分をこども運賃で予約しましょう。
例えば私が1歳9ヶ月の子ども2人と、合計3人で乗車した時は、大人1・こども1の計2席を予約し、そこに3人で並んで座りました。
2.乗車する新幹線
東北新幹線の車両には、E5系、E2系、E6系、E3系の4系統がありますが、E5系を選んで乗車しましょう。E5系は、デッキが広く、おむつ替え台やトイレ内のベビーチェアも潤沢です。一方で、E2系・E3系には、双子ベビーカーを置く場所がない車両があります。デッキ等も狭いです。E6系はベビーカーを置くことはできるのですが、在来線へ乗り入れする関係で、車体が細く、結果E5系より車内が狭いです。
E5系の目印は、グランクラスのある列車の1~10号車です。はやぶさは全てE5系なので、どの列車を選んでも大丈夫です。一方、やまびこ・なすのは、E2系の場合があるので注意しましょう。
3.席の位置
予約する席を選ぶときの最重要事項は、車両の最後列にすることです。畳んだ双子ベビーカーを、座席の後ろの、壁との間のスペース(幅50センチ)に置くためです。2席分の後ろのスペースを占領し、椅子は殆ど倒せなくなります。下り(仙台方面)の場合は1A・1B・1C・2D・2Eが該当します(左下図)。上り(東京方面)の場合はその車両で最も番号が大きい一列です(右下図)。
また、図4左の通り、E5系の各車両客室の東京方面側には荷物置場があります。サイズ的には、この荷物置き場に双子ベビーカーを平置きすることができます。ただ、ぴったりサイズなので、1つでも先に荷物が置かれていたら収まりません。使えることを期待せず、後ろにベビーカーを置ける最後列座席を予約することをおすすめします。
荷物置き場のサイズは、以下の通りです。
幅 89cm
奥行き 上段 70cm 下段 74cm
(両方80cmくらいのものまで置けそう)
高さ 上段 54cm 下段 60cm
4.号車
ベビーカーを畳んで乗車する場合は、基本的に何号車でも大丈夫です。選べそうなら下記を参考にしてください。
①駅によっては、階段などでホームがとても狭くなっている場合があります。ホーム上での新幹線の扉への辿り着きやすさを気にしてみましょう。
②トイレ、ベビーベッドが近いと便利です。E5系の場合、奇数車両の仙台方面側(番号が大きい側)にあります。つまり、上り(東京方面)に乗る時は奇数車両、下り(仙台方面)に乗る時は偶数車両の最後列に乗ると、トイレやベビーベッドが近くなります。
当日のシミュレーション
チケットが取れたら、当日のシミュレーションを始めましょう。新幹線は、停車時間が1分しかない!ということもザラです。スムーズに乗降できるよう、誰が何をどう持って運ぶのか、事前に検討しましょう。必要に応じて練習もします。私は、双子を抱っこ(双子抱っこ紐ベラミ使用)+リュックで乗降予定でしたが、練習で、「リュック→子どもたちの順で背負うと締まって息ができなくなる」ということに気付きました。
また、乗る時よりも、降りる時の準備の方がシビアです。降りる駅に着く何分前から降りる準備を始めるかも、決めておくとよいでしょう。
当日持ち歩く荷物を減らす工夫も必要です。旅先に送れるものは送る、旅先で買えるものは買う、消耗品は使い切りサイズを用意する、圧縮袋を使用するエトセトラ。大人1人であればリュック+サコッシュ(貴重品入れ)が限度です。私は工夫に工夫を重ねた上で、それでも大容量のマザーズバックをパンパンにしていきました(1泊2日)。
もちろん、新幹線の乗降だけでなく、その前後の道のりの下調べも忘れずに。予約した新幹線に乗り遅れたら悲劇ですから……。
JRへの介助依頼
乗降時の人手が足りない場合、駅にお手伝いをお願いしましょう。事前に、みどりの窓口に行くか、電話(JR東日本お問い合わせセンターに電話をかけて、駅に転送してもらうようです)で相談をします。できれば新幹線に乗車する駅で相談するのが良いでしょう。
伝える・確認することは以下の通りです。
- 予約内容の詳細(予約番号を伝えるとスムーズ)
- 乗る新幹線の時間、座席、人数
- 手伝って欲しいこと(なるべく具体的に)
- 例1:畳んだベビーカーをホームから座席の後ろまで運んでほしい
- 例2:鞄を座席まで運んでほしい
- 例3:スロープを出してほしい
- (ものの運搬を頼む場合)運んでもらうものの重さや大きさ
- 乗車駅での待ち合わせ時間と場所
- 降車時の新幹線車内での待ち合わせ場所(デッキor座席)
特に双子ベビーカーを運んでもらう場合、大体の重さや大きさを伝えましょう。大抵の人は双子ベビーカーをシングルベビーカーの延長でイメージしています。私は初回、駅窓口であまりに軽く「はい大丈夫ですよ〜運びますよ〜」と受けて貰えたので、ベビーカーのサイズに言及しなかったんです。そしたら当日、駅スタッフさんが「おもっ!?」って声をあげていました。すみません。
そして、注意したいのは、窓口で伝えたこと全てが当日スタッフさんに伝わるとは限らないということです。介助依頼の管理がどうなっているのかは不明ですが、人選・人数に関わる部分は、強調しておきましょう。
内容を伝えて了承をもらえたら、当日の待ち合わせ時間と場所を確認します。乗車時間より早めに来るように言われますのでそのつもりで(私は20分前でした)。往復まとめて依頼する場合、復路の待ち合わせ場所と時間の確認も忘れずに!!
【Point】お願いできるお手伝いは限られています。例えば、ベビーカーを畳んでほしいと思っても、大抵の人は畳み方がわからないでしょう。また、車内でしてもらえることは、停車中の短時間(1分しかないことも!)で可能なことのみです。定刻発車を妨げないように気を付けましょう。
乗車当日
乗車する時
お手伝いを依頼している場合は、事前に確認した待ち合わせ場所に行きます。駅スタッフさんと合流したら、改めてお願い事項を確認しましょう。以降の移動や乗車などは、駅スタッフさんの指示に従ってください。
席を予約しているので、乗車待ちの列に急いで並ぶ必要はありません。ただ、早めにホームに行き、席から一番近い扉のそばの、安全な場所で、体勢を整えておきましょう。乗車する新幹線が到着する前には、子どもたちを抱っこし、双子ベビーカーを畳んでおきます。乗る時は、他のお客さんが乗り終わったあと、最後に乗り込みましょう。
畳んだ双子ベビーカーは、予約した最後列席の後ろのスペースに置きます。子どもたちと席におさまれば、ひとまず最初の山場は終了です。
駅スタッフさんにお手伝いをしてもらった場合は、お礼をして別れましょう。駅スタッフさんが降りないと発車できません。引き留めず、なるべく早めに降りてもらいましょう。
車内で過ごす
席に座れたらひとまず一安心です。難関は、大人が1人の場合のおむつ替え&大人のトイレくらいだと思います。E5系のトイレの良いところは、男女共用トイレの中にベビーチェアとベビーベッドが併設されていることです。大人が1人でも、2人とも抱えてこのトイレに行き、1人をベビーチェアに座らせて、もう1人のおむつを替えることができます。2人を入れ替えるのは少々大変ですが……。なお、ベビーチェア・ベビーベッドともに対象年齢は2歳半までです。
大人がもよおした時は、1人ベビーチェア、1人は抱っこでしょう。できれば車内でトイレに行く必要がないよう、乗車前に多目的トイレに行っておき、乗車中は飲み物控えめにしたいところです(体調にはお気をつけください)。
降車する時
大人の手が少ない場合、最も大変なのは降車する時です。時間に余裕を持って降車準備をしましょう。新幹線の走行中に準備することになりますので、くれぐれも揺れに注意してください。
駅にお手伝いをお願いしている場合は、乗車する人たちを留めて、駅スタッフさんが乗り込んできてくれます。依頼時に、座席まできて欲しいのか、デッキでいいのか、伝えておきましょう。
お手伝いをお願いしていない場合は、なんとか降り遅れないようにデッキに出なくてはいけません。手順や分担を細かく考えておきましょう。
ホームに出たら、ホームの端から離れ、人の邪魔にならない場所でベビーカーを広げましょう。子どもたちをベビーカーに下ろせたら、ミッションコンプリートです。お手伝いをしてもらった場合、感謝を伝えましょう。
以上です!お疲れ様でした!!残りの旅程も頑張りましょう~!
おわりに
東北新幹線に双子ベビーカーを畳んで乗車する方法をご紹介しました。
大変ですね。1人でも月齢によってはできるんですけど(我が家の場合は乗車時間がそこまで長くないこともあり、1歳8か月頃に「席に座ってられそうだな」と判断しました)、ま~~~~、駅スタッフさんのお手伝いが必要な上にそれでも乗降が大変なので(「車内でどう静かに過ごさせるか」なんて霞む)、この方法は大人2人以上にお勧めします。大人2人でもダブル抱っこが厳しいようであれば(低月齢、イヤイヤ期で暴れるなど)、お手伝いをお願いした方がいいと思います。
新幹線に乗りたい多胎家庭の方のヒントになれば幸いです。とにかく最初から最後まで事前シミュレーションしてください。応援しています。
ぜひ兄弟記事『双子ベビーカーを広げて乗車する』も合わせてお読みください。めっちゃ長いけど。